カスタマージャーニーマップをアドビから学びました
カスタマージャーニーマップについてAdobeセミナーを受けました
「カスタマージャーニーを絵に書いた餅にしない」というテーマで、アドビシステムズの熊村様、楊野様の2名の講師がお話をされました。アドビ自身で行われているカスタマージャーニーマップ作成をベースに、
1. カスタマージャーニーマップの作り方
2. アドビ製品活用事例
をご紹介いただきました。
商品紹介は(恥ずかしながら)ちょっとついていけなかったのですが、カスタマージャーニーの作り方はとても勉強ななったので、備忘録として残したいと思います。
はじめはペルソナ設定
この写真を見て下さい。この人はどんな人でしょうか?
単にどんな人という質問だと、漠然と若い女性ぐらいの感覚かと思います。
そこで、国籍は、年齢は、性別は、職業は、宗教は、支持政党は、人生観は、、、、、という項目をあげると、日本人と思い込んでいたが、違うかも。もしかしたら女性ではない可能性も、年齢も結構上かも、なんて考えるようになります。
そして、この人の悩みは何でしょう?なんて更に問を投げると、いろいろな想像が頭を駆け巡るでしょう。そうやって、誰が客なのかを具体的に徹底的に考えるそうです。そして、1人のモデル像を作ります。
もちろん顧客は複数います。それぞれを同様に描いていきます。アドビでも複数のペルソナを描いていました。
さて、ペルソナを決めたら、その次はペルソナのカスタマージャーニーになります。
カスタマージャーニーとは何でしょうか
カスタマージャーニーと言う言葉でググると色々な解釈がヒットされます。アドビでは、カスタマージャーニーを「行動プロセスを視覚的に物語にしたもの」と考えているそうです。顧客が商品を認知して、そして調べて、購入して、使って、更に継続して使う。この一連のストーリーを可視化した物がカスタマージャーニーマップとなります。
その構成は次の3つのステップに別れています。
アクションを分解し、それを再構築してストーリーにする
KJ法と同様のプロセスかと思いますが、「顧客のアクション」の分解を行います。顧客が始まりから終了までにどんなアクションをするのかを、付箋1枚に1フレーズで書き出します。この時、人によって始まりや終わりの認識が異なり、また、部や課などの異なる場合には、アクションとして捉えるポイントも異なってきます。(営業部と開発部とはだいぶ見方が異なるでしょうね。)そして、それぞれが書き出したフレーズを壁に貼り出して、討議しながらそれらを再構築して、一連のストーリーを作り出します。このストーリー作りが最初のステップです。
それぞれのアクションで気持ちのUP/DOUNを書く
それぞれのアクションポイントで、顧客は買いたい気持ちや買いたくない気持ちなどの変化があります。これを一本の線から上に行ったか下に行ったかで視覚的に書き出します。線が上に行けば購入意欲が高まったことになります。この作業がステップ2です。
一連のストーリーを見ると感情は上下するでしょう。そして、中心線から外れた場合、そこでのアクションには何らかのインパクトが有ったと解釈できます。良いインパクトもあれば悪いインパクトもあります。そして、そのギャップに注目して行くのがこのカスタマージャーニーマップの活用ポイントになります。
さて、この変化のあるポイントのことをMOTと呼んでいます。Moment of Truthという言葉の略だそうです。
MOTとは
この言葉は、若くしてスカンジナビア航空のCEOになったヤン・カールソン氏が用いた言葉です。この航空会社の顧客に直接接するスタッフの平均応対時間が15秒であり、その僅かな時間で顧客は良否の判断を下しているということを表わした言葉です。その後、P&Gがその言葉を少し変えて使いました。初めて商品を見た時(第一印象で顧客を動かす)と、使い始めた時(その瞬間に顧客は継続使用を決断する)の2つの瞬間があると言う考え方でした。更にGoogleは、「商品を見る前にインターネットで調べることから始まる」と考え、事前にブランドと接触するポイントを「ゼロ(Zero)」と呼び、ZMOTと言う考えをあらたに打ち出しました。
参照記事 https://innova-jp.com/the-evolution-to-moment-of-truth/
接点を書いていく
ステップ3は、このMOTが起こった「接点が何か」を書いていく作業です。これも分かりやすく絵で書くと良い様です。たとえば、レストランの予約を取る時、電話応対が悪かったというMOTで行く気が失せてしまった。その場合はMOTは予約となり、接点として電話機の絵を書けば良いことになりますね。
アドビの実例ではかなり文字が多かったのですが、相当時間をかけて、絵では表せないくらいの事象が有ったのでしょうか。まあ、文字でも可ということですね。
これでカスタマージャーニーマップの完成です。次は、これを見て、どうすべきかを解析することになります。
一連の作業で重要なこと
アウトプットを色々出すこと
KJ法と同様に、どんどんアウトプットを出すこと。そして、多分、批判批評はしないことだろうと思います(これはお話にはなかったですがブレーンストーミングでは一般的にそう言われていますよね)。それぞれ思ったことは人によって異なる。それを受け入れて考えなければならないということです。営業と開発は考えることが違いますよね。
1付箋に1フレーズ
1付箋には1フレーズとして、複数の指向が混ざらないように注意が必要です。これもKJ法と同じですね。
解析の仕方
MOTは何か?そして、どのようなアクションを起こすべきか。その手口をどう計測するのか、そしてどうトラッキングするのか。これらを討議するそうです。そして、このMOTの3つ前まで遡って考える&3つ先まで考えるのだそうです。その根底には、「何が顧客をHappyにするか」という視点で解析するそうです。
このカスタマージャーニーマップを作ることで得られること
昨今の仕事は1部門で完結するものは殆どありません。なので、部門をまたぎ、業種をまたぎ、複数社で対応するときに、共通言語が必要となります。このマップがいわゆる共通言語であり、共通認識となります。
この3つのステップを行うことにより、それぞれの立場を相互で理解でき、全員が顧客目線での対応を的確に取れるようになるそうです。
(文責:大久保 優)