デジタルヘルスDay2017 私的備忘録
デジタルヘルスDay2017に行ってきました
東京ビッグサイトで開催され、FinTech やビジネスAI、ビジネスVR、デジタルマーケッティング2017 働き方改革2017 との同時開催でした。
今回私は、「働き方改革」と「デジタルヘルス」を中心に、メディカルを軸にして周りました。
デジタルヘルスでは、ベトナムや台湾、中国からの出店もありましたが、全体的に出店数は少なく、今回ヘルスケアはメインではないとの印象でした。
パナソニックでは、PCで従業員の働き方を把握
パナソニック役員で、コネクティッドソリューションズ社の樋口社長が公演を拝聴しました。戦略・アウトプット指向・階層・仕事内容・横連携を軸としてパナソニックの提言をされました。
戦略
日本と欧米では企業の戦略が異なっている。日本はいいものを作れば売れると考えている。しかし、マーケッティングが出来ていないと売れるものも売れない時代。ガラパゴス日本からの脱却が必要。
アウトプット指向
日本はプロセスが重視される。頑張って夜遅くまでやれば、上司に認められる風潮がある。しかし、本質は売ってなんぼ。売れる活動にターゲットを絞り、それを評価してもらう流れに変える必要がある。
階層
日本はピラミッド型のヒエラルキー階層で、トップダウン経営。なので、中間層が思考停止してしまう。この階層を打破しなければならない。
仕事内容
今までの仕事は継続、そして新たな仕事を追加。これが日本の企業のスタイル。でも、仕事量がどんどん増え、対応できなくなる。思い切って捨てることをしなければならない。
横連携
これからは、1部門で完結できることはない。横連携を強化する体制に変えなければならない。
この5つの提言を基に、働き方を変える必要があるとのこと。そしてパナソニックでは、パソコンにソフトを仕込み、社員がいつ、何をしているかのログを詳細に収集し、それを解析して良い働き方に変えていくように考えているそうです。もちろん、これは商品として今後発売する予定だそうです。その中で健康に関する興味深いお話が有りました。
PCから非接触で心拍数を計測
興味深かったのは、パソコンが非接触で社員のストレスを計測するとのこと。原理はよくわからないのですが(説明要員もわからなかった)、パソコンのモニタ(カメラ?)を通して心拍を計測し、働いているストレス状態を把握するというもの。まだ研究中で、発売予定までには至っていないのですが、正しい心拍が得られるなら、かなり需要があるのではと感じました。
大塚商会はいつでも仕事ができる環境整備
大塚商会のプレゼンを拝聴しました。大塚商会では、2010年頃から従業員数はほとんど増えていない(約7,000人)が、2017年現在売上高は1.5倍(4,000億円から6,000億円)に伸びているそうです。
そのからくりは、今まで移動中や出張中でできなかった仕事がいつでもどこでも出来る環境を整えたからとのこと。
そして、いつでもどこでもサクサク仕事ができる環境の根本的な技術が、
① SSDの使用
② ネットの活用
だとして、この2点を踏まえて従業員にPCを与えるよう是非検討してほしいと提案していました。
SSD使用のメリット
SSDを使用すると、たとえばWindows10は年2回大掛かりなアップグレードをするそうですが、HDDだと数時間かかり、仕事が停滞してしまうそうです。SSDならば数十分で済むので、仕事の効率がだいぶ違うとのこと。
ネットワークの活用メリット
ネットは、LINE Works等の便利な機能を有効に活用し、効率化を図る事が大切だとのことでした。このあたりは多くの展示企業が提唱していました。
私自身は、話を聞いていて、もうちょっとゆとりを持ってもよいのではと思ったのですが、まあ、社員が9時―5時をしっかり働くことで残業を減らし、働き方改革を!と言う感じで、それはそれで有りなのかと思いました。ただ、健康面で如何なものかチョット気になりました‥‥。
LINEは簡単に一斉情報発信。即アクション出来る
仕事がはかどるLINE WorksをPR。これは企業が使うLINEであり、カレンダー機能やメール機能などを企業用にアレンジして提供したもの。トーク、掲示板、アドレス帳、メール、カレンダー、保存ディスク を有して、1ライセンス500円/月とのこと。かなり安くて有用かと思われます。多くの学生や主婦などが利用するLINEと同じ操作性。それを仕事に持ち込み有料化にして収益を図る発想は中々鋭いと思いました。
効率化された実例紹介に、千葉大学病院、三重大学病院が有りました。今まで救急の情報や対応可能な医師への連絡をいちいち電話等でやっていたのが、一斉発信で即アクション可能となり、とても効率がよくなったそうです。患者にとっても実に良いことですネ。
タダこの使用例を伺って懸念事項が浮かびました。病院での一般的なSNS活用に関しては、先般、厚生労働省から使用が認められない通達が有りました。このLINE Worksの利用をどのように解釈するかが問われるかもしれません。
もし、患者情報をやり取りする場合なら、一般SNSではないシステムの活用が必要になります。慈恵医大で使用しているJoinとか、シェアメディカルが開発したメディライン等の活用が必須だと思います。
私見ですが、千葉大学病院も三重大学病院もあくまで医師だけの使用(だと思います)であって、そこに患者情報は入らない限り問題はないかと思います。
Sky株式会社はITセキュリティー提供
Sky株式会社はSecurityを生業とした会社です。そして医療機関向けIT機器管理システムを提供しています(もちろんその他沢山のセキュリティー商品を提供していますが・・・)。PCの故障を予測して、事前に対応するもの。病院では、電子カルテがダウンしたら診療停止状態になります。なので絶対にダウンしない事が必要(病院だけでなく、いろいろな産業でも言えることですが)です。多くの医療機関がこのシステムを利用しているとのパネルが有りました。有名所では、聖路加国際病院。先日日野原先生が105歳でお亡くなりになった施設です。
ベトナム発、FTPスタッフィング株式会社
ベトナムのソフト制作会社FTPが2017年3月に設立した人材派遣会社です。ソフトならなんでもこなす会社だそうですが、今回は、ヘルスケアの範疇での出典。医療ソフト開発PRのパネルの中に、AIを使ったCTやMRIの画像診断補助ソフトの開発するとのパネルが有りました。FTP自体は、ヘルスケアに関して2007年7月から日立メディコ社と接触を持ち、MRI、CT、超音波、X線、および陽子線治療などのソフトウェア開発を行った経緯があるそうです。
中国の会社。株式会社VisionJapan
AIで画像診断補助装置の開発をしている会社です。既に中国では40件の納入事例があるそうです。何処に腫瘍があるかをCTの画像上に印をつけるデモを行っていました。肺がんは、2.8mmのものまで見つけたと強調。こんな小さなものまでディテクトできる装置は何処にもないそうです。
中国に於ける薬事的な認可に関して伺ったのですが、あくまでも主体は医師で、医師の診断補助を行う装置だから全く問題ないとの事でした。
日本では富士メディカルが肺の診断補助を研究しています。アメリカでは、ワトソンが診断するそうです。プリファードネットワークやLpixel、エクサビジョン、メタデータ、ユーワークス、などなど多くのAIベンチャーが医療に進出しています。今後のAIの動きがとても気になります。
バイタルチェックは、三栄メディティス株式会社
Checkme Pro及びLight の展示。手のひらサイズのバイタルチェックマシンです。心電計、パルスオキシメーター、体温計、SpO2、歩数計を1台で計測でき、測定結果はスマホでチェックできるそうです。3機種有りましたが、高いものは約10万円、安いものは約3万円です。3万円ぐらいなら一家に一台持って、健康管理をするのも良いかと思いました。
くまのロボットは、株式会社こころみ
この会社は元々高齢者のサポートサービス(適期的に連絡を取り、その情報を依頼主にレポートする)を行っていて、その際の莫大な会話のデータを基に、高齢者が何を喜び、どんな言葉で元気になるのかなどをAI(テキストマイニング)を利用して分析。それをデーターベース化し、提供する会社だそうです。提供先はロボット会社で、高齢者との会話が弾むように、このデータベースを基に会話パターンを作っているそうです。
「ここくま」はNTTドコモがソフト開発。コミュニケーションを取れば話す言葉が増えて成長するそうです。
価格は34,800円。月額サービス料1,980円。
ドックのデータから疾病予測。SELVAS
人工知能疾病予測のソフトを開発した会社です。人間ドックのデーターから将来の疾病をAIが予測するそうです。保険会社や検診センター、研究所などでの利用を促していました。保険会社では利用価値が高いかもしれません。この装置の予測が正しければ、この情報をベースに保険料設定に使うことが出来ますね。
健康経営には東芝
ヘルスケアのカテゴリー出典ではありませんでしたが、東芝の展示コーナーで、「日常健康見守りサービス」を紹介していました。経産省などが昨今提唱している健康経営に、こんなシステムがあれば良いのかなあと思いながら話を伺いました。体重計や血圧計や体温計、ヘルスウォッチによる睡眠時間や歩数等の情報を自動で収集しクラウドに登録。ブラウザでいつでもどこでも表示可能。全てのシステム一式での提供を考えているそうですが、1式30万円ほどで購入できるそうです。
会社に1セット購入して、毎日社員の健康チェックをするのは良いかもしれません。実例として、バス会社の使用を紹介していました。
驚きの会社名。O:オー
睡眠に特化したソフト開発会社です。睡眠をトレーニングしたり、睡眠情報をレポートしたりして、睡眠によって働き方改革をサポートするそうです。ちなみに、説明要員は誰もいませんでした。なので詳細は分かりませんが、とにかく社名のインパクトが強く、思わず列記してしまいました。(笑)
まとめ
働き方改革は「時短」。ストレスを軽減すべく残業を減らすことが重要になっています。しかし、ストレスは「時短」だけでは軽減できません。健康が必ず絡んできます。今、健康を最も阻害しているのは生活習慣病でしょう。この生活習慣病は「食事と運動」、そして「ストレス制御」で改善できるものです。この3軸をコントロールすべきデジタル機器の開発はとても重要です。
新たな機器が生まれ、それを使って健康寿命が伸び、ピンピンコロリと言う理想の生き方が出来たら良いなあ、と思う今日このごろです。
(文責:大久保 優)