希少糖。香川大学は世界一の研究所

香川県は糖産県。目指すは糖産国。

香川県の旗香川県旗

先日、医用画像研究会に参加しました。研究会の特別講演は、「香川で生まれ育つ希少糖研究」。
香川大学農学部の秋光先生のご講演でした。実は、香川大学は世界有数の希少糖研究施設なのだそうです。私なりにインパクトの有った項目をご紹介します。

■40億年前は、ブドウ糖、果糖、希少糖は同程度に有った

40億年前の世界希少糖とは世の中にある糖の1%。正に希少です。しかし、つい40億年前は全て同じ程度有ったそうです。つまり30%は希少糖だったわけです。今では自然界には殆ど無い単糖になってしまいました。

人類がブドウ糖と果糖を選択した歴史があるとのことです。この希少糖は、血糖値を押さえ、成長抑制作用があるそうです。人体には、血糖値を上げるホルモンはたくさんあるが、下げるホルモンはインシュリンだけなのだそうです(人づてに聞いた話で恐縮です)。人類の歴史は、貧困で糖不足の連続だった。従って、血糖を上げるホルモンが生き残り、下げるホルモンはインシュリンだけになってしまった。

これと同様に、ブドウ糖や果糖は血糖を上げるので残ったが、希少糖は甘いが血糖値を上げない糖。なので、絶滅危惧種!?になってしまったと想像・・・。

■希少糖は約50個あり、全部作れるのは世界でここだけ

化学式 香川大学の阿森(いずもり)名誉教授は希少糖の研究を行い、全国5,000箇所の土にいる微生物を採取し、これらの微生物のDNAの奥底に眠っている希少糖の生成メカニズムを呼び起こし、希少糖の生成に成功したそうです。希少糖は約50種類有りますが、全ての希少糖を生成できるノウハウを香川大学は開発しました。全ての希少糖を作れるのは世界で香川大学だけなのです。凄いですね。だから世界中から研究者が集まるそうです。NASAからも研究者が来るそうです。目的は、地球外生物の研究。わお!と言う感じですね。

この希少糖は甘いのですが、全く人体に吸収されないそうです。体内に取り込まれないのですから細胞にも入りません。つまりカロリーゼロ。(資料によっては1/10としているものもありました)

希少糖を作るメカニズムの一つ。DグルコースからDフラクトースを作る!という特許は日本が有しているそうです。

 

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■希少糖を利用した2,500以上の商品

2014年にレアシュガースイート(RSS)を松谷化学工業が市場に投入しました。

また、コンクリートに希少糖を混ぜると、中々固まらないそうです。なので、セメントをこねてから使用までの時間がかかる場合に使われるそうです。凝固抑制技術です。

さらに、成長抑制効果もあるので、芝への水やりも、希少糖を含んだ水やりによって、芝刈りの間隔を長くすることができます。
秋光先生は成長抑制効果を漫画のメルモちゃんを用いて学生に紹介するそうですが、メルモちゃんを知っている学生はいないそうです。私は知ってました。

それから、甘いけどカロリーゼロ。なので、糖尿病にも有効。

2016年にNHKで放映されました。放映内容記事:(http://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2016/06/0601.html

神戸新聞NEXTの映像はこちら(45秒)

このように希少糖を利用した2,500以上の商品が生まれています。なので、量産しなければなりません。香川大学はこの量産化にも力を入れていました。

■植物のシーラカンス。それはズイナ

希少糖を有するズイナ

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ズイナの葉には約5%の希少糖が含まれているそうです。葉の9割は水分。なので、100gの葉を乾燥させると10gになります。でも糖はそのまま残るので、10gの内の5gが希少糖として抽出できます。結構効率がいい植物のようです。

さて、このズイナは希少糖を含む唯一の植物であり、植物のシーラカンスと呼ばれているそうです。

この植物は、割と簡単に培養できるそうです。それは接ぎ木の要領でした。1個の植物から倍々ゲームで6ヶ月後には4,096個の植物に、これを繰り返してどんどん増やしていくそうです。

香川県三木町小蓑では、かつての小学校を研究施設として活用し、地元の高齢者に培養の作業をしてもらっているそうです。そして、毎年ここで「希少糖甲子園」を開催し、全国のスーパーサイエンススクールから糖の研究をしている高校に来てもらうそうです。

このズイナですが、香川大学内にも1000本以上もあるそうです。ズイナ!恐るべし。

■香川大学は安泰?いやいや安穏としていられない

希少糖で一番このように、香川大学は世界有数の希少糖研究機関として君臨しているのですが、さぞかし安泰かと思いきや、そうではないそうです。

世の中には微生物が10の28乗もいるそうです。その一部の微生物から希少糖の生成に成功しただけで、他の微生物からいつ新たな希少糖生成が発見されるか未知の世界。世界中の研究施設が次の微生物を見つけるべく日々精進しているそうです。なのでいつ何時香川大学の優位性が崩されるかわからないそうです。

ということで、今でも一生懸命研究をしているそうです。

■糖産県香川。糖産国を目指す。

大学をイメージした画像このようにして、現在世界No1の研究施設として君臨し、そして、今後もその地位を継続すべくより研究に拍車をかけ、世界有数の糖産国になることを目指しているそうです。これは、香川県を上げてのプロジェクトだそうです。希少糖を世界に展開することを目指し、大学は学部を横断して国際希少糖研究教育機構を立ち上げました。香川大学。それは世界1の希少糖研究所。

 

香川大学がこんなに凄いとは知りませんでした。NASAからエイリアンの研究?の為に香川に来ているなんて、いきなりワールドどころかコスモスですね。

とても素敵な特別講演でした。

 

(文責:大久保 優)